はぐりぃ らぶりぃ

ぐらんまだより
3回目
心の傷の特効薬 愛着について No.3
私のかわいい孫娘へ


元気にしていますか?ベビーもずいぶん大きくなったでしょうね。
あなたとパパから十分な愛情と安心をもらえているベビーは幸せですね。
ぐらんまは今ボストンにいます。ここのトラウマセンターというところで、乳幼児期に虐待や放置をされたり、母親から引き離されたりした子どもたちのトラウマを癒すため様々な試みをしているところです。

今回のぐらんまだよりも、愛着のお話しの続きです。

トラウマ(こころの傷)研究の第一人者であるボストン大学のベッセル・ヴァンデコーク博士(トラウマセンターの主任医師です)は、親との安定したアタッチメント(愛着関係)は人間生活の基礎であり、その大切さを強調してもしきれないとおっしゃいます。6歳までに「この人からは自分は無条件で受け入れられて、絶対に見捨てられることがなく、その傍にいれば安全で安心」という人間関係を体験した人は、成人してからひどい災害にあってもPTSDといわれるストレス障害を起こしにくい、または起こしても治りが早いのだそうです。愛着の絆は、子どもがこれから体験する日常生活からくるストレスや、人間関係から受ける心の傷から立ち直る「ばね」の役割をしてくれるのでしょうね。

ぐらんまだより
タッチとキッスにアイコンタクト
前回は「ハグ(抱擁)」が親と子の愛着を深め、子どもの脳の成長に大きな役割を果たすと書きましたね。この「ハグ(抱擁)」の次に大切なのが、親の優しい「タッチ(愛撫)」です。アメリカで売れている赤ちゃん向けの本に『キッスするのが大好きよ(Counting Kisses)』(Karen Katzカーレン・カッツ著)というのがあります。本の1ページごとに「あなたのほっぺにキッスする」、「あなたのお目めにキッスする」、「あなたのあんよにキッスする」と赤ちゃんへのキッスが続き、最後は「あなたの全部がママは(またはパパは)大好きなの!」で終わります。日本にキッスの習慣はありませんが、4カ月以上の赤ちゃんにこの本を見せながら、指定の場所にキッスしたり、タッチする動作を繰り返すと「キャッキャ」と喜んでくれますよ。

また、ぜひ、取り入れて欲しいのが「目と目を合わせる」アイコンタクトです。日本では他人の目をじっと見るということは「挑戦行動」のように思われてしまうかもしれせんが、親の優しい「ニコニコした眼」は、赤ちゃんが一番見たいもので、子どもの心を安心と喜びでいっぱいにします。生まれたばかりの赤ちゃんは、まだボーっとしか見えない目で、抱いてくれるママやパパの目を見ようとします。これはたくさんの生き物がする「刷り込み」という動作で、この人を顔覚えていれば安心という、生存本能だそうです。それ以後も、ママのお乳を飲みながらママの顔をいじったり、目をじっと見つめたりし始めますね。あなたも赤ちゃんの目を見ながら、そして話しかけながら授乳したり、オムツを取り替えたりしましょう。

ぐらんまだより 成長にあわせ、小さい子ならば手をつなぐ、頭をなでる、ちょっと大きくなったら肩にやさしく手をのせる。そして子どもがいくつになっても、目を見合わせて、お互いにニコニコし、ハグして背中をポンポンと軽く叩いたり、ハグしたまま左右に体をユラユラさせたりするなど、親しみを身体で表現するような挨拶ができる関係を継続させていってね。日本だとちょっと恥ずかしいかもしれないけど、そんな風に触れ合うのは、相手を受け入れている、信頼している、そして大好き!という気持ちの、自然でやさしい伝達方法ですよ。

ちょっと余談ですが、アメリカの老人ホームなどにボランテイアで行った人が、ニコニコしながら「おじいちゃんごきげんよう」「おばあちゃんごきげんよう」とハグをした時、ハグされた老人の血圧を測ったら、高血圧の人の血圧は下がり、低血圧の人の血圧は上がったという結果が出ました。優しいハグは、人にそれほど良い影響を与えるのです。

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