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1歳〜1歳半
成長と発達の状態ぐらんまアドバイス
小脳の発達期である幼児期<1〜4歳>

小脳は大脳の後ろに隠れるようについているもう一つの脳の場所で、乳児の時はあまり説明しませんでしたね。ここは私たちのバランスと筋肉運動のコーディネーション(協同)をつかさどるところで、私たちが真っすぐ歩けたり、自転車に乗れたり、物を書いたり、口を動かして話したり出来るのはこの小脳のおかげです。

赤ちゃんの脳、特に小脳は出生時にとても小さかったので(でないとお母さんのお腹から生まれるには頭が大きすぎて難産になってしまいます)、乳児の動作はぎこちなかったですね。でも赤ちゃんの頭が外に出て発達の場所ができると、小脳は爆発的に大きくなって、バランスとコーディネーション能力もどんどん発達します。1歳のお誕生日には立ち上がって、手を延ばして物をつかもうとし、小さな唇の筋肉をきつく締めたりねじったりして、色々な音を出すようになりますね。これから幼児期を通して、小脳は素晴らしい発達を遂げていって、バランスや動作が洗練され、高い所によじ登ったり、言葉をしゃべったり出来るようになるのです。それではまず1歳から1歳半の成長状態から見てみましょうね。

 
成長と発達の状態

可愛いチンプ(チンパンジー)期

乳児期の夜泣きを鎮める5つのSで紹介したハーヴィー・カープ博士は、1歳から4歳までの幼児期の成長を見守ることは、人間の500万年の進化を実際に目にすることで、幼児は人間の祖先の進化を反映する4つの発達段階を通って行くとおっしゃっています。だからあなたの可愛い1歳児は丁度500万年前の猿人で、チンパンジーに比較できるのだそうです。そういえば・・・二本の足で立ち、よちよちと歩き、言葉が少し理解でき、どこへでも行きたがり、何にでも触りたがり、そして遊ぶことが大好きですね。

1930年代にアメリカの心理学者の夫婦が、自分の息子と、息子よりちょっと年下のチンパンジーを一緒に育てたところ、1歳半までは二人は同じように成長していき、色々なことや物に興味を示し、同じように両親の指示に従うことが出来ました。ただ、よじ登ったり、用便のしつけはチンプ(チンパンジー)のほうが人間の兄さんより早く、お兄さんのほうはどんどん話す言葉数が増えていくのに、チンプはとうとう言葉を話すことは出来ませんでした。
また二人ともおもちゃをいじることが好きでしたが、チンプのほうはすぐ飽きて、ほかのものに手を出すのに、人間の兄さんのほうはおもちゃがどうやって動くか調べようとしました。そして人間の兄さんは親指と人差し指で小さいものをつまむことが出来ました。これが、後に人類が道具を作り、使うということを可能にした能力なのですね。

モノマネで言葉はじめ

1歳までに大人の2倍もできた脳神経回路の数は、この時期から2歳にかけて少なくなります。それは、よく使う回路が強化される一方で、使わない回路は消えてこれからできる回路の発達の場所を作ってくれるからです。

この時期は、まず頭のてっぺんに近いところにある運動野が発達し、つたい歩きからよちよち歩きになり、階段をそろそろと後ろ向きに降りていく、なんてこともでき始めるかもしれません。足を踏み外す危険があるので、大人がすぐに支えられる場所にいましょうね。

また、話し言葉をたくさん聞くことで、単語などがしまわれる角回(かっかい)という場所が育って、前頭葉にある言葉を作り出す場所(ブローカー野)が少しずつ発達して、「ママ」と大きな声で言ったり、「これ(レが言えなくて"コエ"と聞こえますね)」と指さしたりして、片言で意思表示が出来るようになります。大人と簡単な会話が出来るようになるのは3歳ぐらいからですが、この頃は大人の話し方の抑揚をまねたり、自分で物の名前を作ったり(例えば「ブブ」が水を意味したり)、意味が分からなくても単語を繰り返したりしながら言語能力を増していきます。とても可愛いので、じっくりお相手をしてあげてください。

1歳から1歳半では大脳の右半球が左より発達していて、話し言葉の理解より、人の身振り・声音・表情を理解することが優れています。話しかけや指示を出す時には、言葉と一緒に身振りや豊かな顔の表情を添えましょう。あなたとのコミュニケーションがもっとスムーズになりますよ。

遊びに加わる大切さ

幼児期は遊びから色々なことを学ぶ時期です。1歳では、まだ、物を口で味わい試す時期なので、口に入れても危なくないおもちゃや、立って押して歩くような玩具を選んで、話しかけながら一緒に遊んであげましょう。忙しいママはそんな時間が無いと言うかもしれないけれど、1時間にたった5分で良いのです。これを一日の内に何回か繰り返すことで、かんしゃくを起さず一日ご機嫌さんでいてくれます。子どもの遊びに加わることは、「子どもと波長を合わせる」こと。これをママやパパが学んでいくと、愛着(アタッチメント)を更に深めることが出来ますよ。

この時期は「今、現在」しか分からず、集中能力も短いので、一つの遊びに熱中することは無く、色々なものに手を出したり、目的もなく部屋をあちこち目まぐるしく探検して回りますね。この段階ではこれが「自然」なことですから大丈夫、ADHD(注意欠陥多動性障害)ではありません。5歳児でこのようなことをしたらちょっと心配ですけれど・・・。

 
ぐらんまアドバイス

言葉と感情の豊かなやりとりを

たくさん話しかけると同時に、子どもの言わんとすることにも耳を傾け、それに対してまた言葉や動作で応えてください。この頃の子どもは大人の話し方・抑揚・表情・動作をまねして、片言を交えた動作で意思を伝えるようになります。意志表示は言語だけでなく、顔の表情や体でも伝えられることを教えていきましょう。自分の意思が伝わることで、子どもは安心して、かんしゃくを起さなくて済むはずです。

でも知恵がつくにつれて、やりたくても「まだしてはいけないこと」(例えば一人でお外に出ること)が増えてきて、その欲求不満や不快感を泣いて伝えるかもしれません。その時は簡単に、「●●ちゃんは怒っている。オンモにでたい。オンモに出たい。出られないから怒って泣いているのね」と短い言葉で繰り返して子どもの気持ちを分かってあげたことを表し、さっと抱きあげて「ママと一緒にジュースを飲みましょう。お片付けが終わったらオンモに一緒に行くからね」と気をそらしたら・・・ほら泣きやんだでしょう?

 


また泣かずに感情の表現が出来るように、感情に名前をつけたりもしてみてください。夜、絵本を見せながら、登場人物の表情や感情を親子でまねて遊ぶのも楽しいですね。

モノマネで言葉はじめ

絵本を読んだりするのは、ママ(あるいはパパ)と子どもが1対1で(または兄弟もいれて)深く関わる時間で、子どもたちの一番楽しい思い出となるものです。あなたのママもそう言っていましたよ。

ねだられたら、何度でも同じ物語や本を繰り返して

この時期から2歳頃にかけて、同じ物語やお話を何度も何度も繰り返しおねだりします。少しでも違った読み方をしたり、いつものお話を違うものに換えると怒って、同じように語ったり読んだりすることを強要します。「もうママ飽きちゃった」なんて言わないでね。これは繰り返すことで、母国語の脳神経回路を強化しているのです。社会的に成功するためには言語能力が欠かせませんから、将来のコミュニケーション能力の土台をしっかり築くためにも、飽きることなくつきあってあげてください。

小さな挑戦を見守って

もう支えなしで歩けるようになったでしょう?家の中や庭が子どもにとって安全かどうか、毎回確認してくださいね。色々な物を触って、自分でなんでも試そうとするので、手を添えてサポートして、出来るだけやらせてあげましょう。出来たら「まあすごい、こんな難しいことが出来て!」とほめてあげてね。そしてパパが帰ってきたら「今日は●●ちゃんがこんなことが出来るようになったのよ」と言ってください。自分の良いことが話題に上がるのが、子どもにとってとてもうれしく、満足なことなのです。こうして自尊心が高められ、後に、自信を持って失敗を恐れず色々なことに挑戦できる子になっていくのですよ。

 
 
9〜12ヵ月 1歳半〜2歳