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1歳半〜2歳
成長と発達の状態ぐらんまアドバイス
成長と発達の状態

膝の高さのネアンデルタール人

  ハーヴィー・カープ博士によると、1歳半から2歳の発達段階は「膝までの背丈の」ネアンデルタール人で、200万年前の人類の進化段階にあたるそうです。(関連記事→ぐらんまノート1〜1歳半)ネアンデルタール人は猿人に比べてかなり賢く、かなり素早く、そして言葉も発達していましたが、同時にかなり攻撃的で強情だったそうです。

あなたも、赤ちゃんの「私」「僕」を主張する強さや、「いやっ」と拒否する動作などに、「私の可愛い赤ちゃんはどこに行ったの?」と嘆いているかもしれませんね。この時期が子育てに一番苦労するときでしょう。

ママはあなたの一部ではない ?自他の分離

運動神経の発達

毎日のように運動能力が高まってきますね。これは、前頭連合野の後部にある運動野と、前にお話ししたように小脳(関連記事→ぐらんまノート1〜1歳半)がどんどん発達して、それに伴って身体も発達し、脳の命令に応えられるようになってきたのです。ずいぶんやんちゃな動きもみられるかもしれないですね。これまで後ろ向きに降りていた階段を、壁につかまりながらもある日急に前向きに降りて、あなたをびっくりさせたりしますね。もう歩けることがうれしくて、目的無く歩き回ったり、走り回ったりして、眼が離せません。右も左もまだ分かりませんし、道路を渡る時には車が来て危ないので、抱きあげるか、ママの手をしっかり持って歩くことを教えましょう。公平で、確固とした行動の限界を決めて、一貫して守らせることが大切ですよ。

もう簡単な指示が分かるので、感情的にならず、優しいけどきっぱりと、簡単な指示を与えましょう。拒否されたら遊びに換えてみましょう。「お片付けよ。おもちゃを、その箱に入れなさい」と言って「いやっ」と拒否されたら「あっそう。●●くんは"いやっ"、"いやっ"。そう。それではママが一人で遊ぼう。ホラ。トラックさん、ない、なーい。うさぎさん、おやすみ」などと言ってうさぎのぬいぐるみにキッスして片づけ箱に入れたら、きっとすぐに「僕も」って参加してきますよ。

生活習慣の変化に反応

この頃は親の作る日常の生活習慣や安定した家庭環境に、「どっしり」と安心して浸かっていて、その自信満々たる様子は本当に可愛いものですね。物事に熱中して、色々なことに興味を持ち、よく大声で笑います。子どもが笑ったら何がおかしいか分からなくても、ママも必ず一緒に笑いましょうね。これが「波長を合わせる」ということになります。(関連記事→ぐらんまノート1〜1歳半)
日常習慣が少しでも変わるとそれに反応して動揺することがあるので、外出などで習慣がかわる時は、今日はどこに行って何をするかなど手短に話し、「お昼が遅くなって、お腹がすいたら、ママに言ってね」と、心の準備をさせましょう。

簡単な日常の挨拶を

「こんにちは」や「さようなら」を、最初は身振りで、でもじきに言葉で言えるようになります。このような挨拶は、人間関係を円滑にするために大切なので、ママとパパは「おはよう」「ありがとう」「どうぞ」「ごめんなさい」などを、お互いに、そして子どもにもちゃんと言いましょう。子どももまねをして、丁寧な挨拶が出来るようになります。このようにお互いに尊敬を持った家族関係は美しいものですね。

ママはあなたではない 〜自他の分離

そろそろ言葉が出てきて、面白いことを口走るでしょう?独り言を言ったり、自分の言ったことを他の人が聞いているかを盗み見て確認したりもしますね。この頃からだんだんと「自分」と「他人」の観念が分かってきます。そして「いやっ」と言ったり、食べたくないものから顔をそむけることなども覚えます。空腹・疲れ・痛みなどを身振りや言葉で伝えることが出来るので、アメリカでは、この頃から「ママはあなたではないから、分からないわ。ちゃんと話してごらん」と、言葉や身振りで意思を伝えるよう親が導きます。
例えば子どもが転んで泣いている時、なぜ泣いているか分かっていても、しゃがんで子どもの目線に自分を置き、「どうしたの、何があったかママに教えて」と聞き、「転んだ」と言葉や動作で表現させ、「どこか痛い?」と聞いて痛いところを指さしてもらい、「それは痛いでしょう。ママが治してあげるね」とハグ(抱擁)して優しくなでたり、薬をつけてあげたりします。また、手の届かないところにあるおもちゃの前で泣いていれば「何が欲しいの?」と聞き、子どもが指をさすか、「あれとって」と言って欲しいおもちゃを示してから、親がそれを取って手渡すなどのやりとりをします。すると子どもは、「ママは、自分の延長ではない」ということに気づき、「自分」と「他」の分離が出来るようになっていきます。そして同時に、自分がちゃんと意思表示すれば、ママは必ず癒してくれる、または、それをやってくれる存在だという信頼感も強まるのです。

日本では、この自他分離の段階が少し遅いようで、3歳ぐらいからといわれています。でも、いつまでも子どもの欲求を先取りし、意思表示をしないのにそれを満たしてあげていると、「ママは自分の一部」と思い込み、気持ちが以心伝心で伝わらないとかんしゃくを起こすようになってしまいます。母子の自他分離は、子どもの自我の発達を促します。巣立ちはまだ先ですが、子どもが精神的に独立するための能力をつけてあげることは、親の大切な役割ではないかしら。ママは子どもの欲するところが分かり、子どもの一部であることに喜びを感じることもあるでしょうが、自分のためでなく子どものために、子どもの「自己の確立」を手伝いましょう。

 
ぐらんまアドバイス

歌・本読み・子どもへの応答で信頼を深める

この時期は、幼児が全面的に信頼と慕情を親に寄せてきますから、その信頼を損なわないように、自分の感情の起伏に気をつけてね。いつも同じように優しく話しかけて、子どもの断片的な言葉に耳を傾けて応えてあげましょう。

子どもの感じている「うれしい」「悲しい」「怒っている」を、感情を表す言葉を使って代弁することは、「ああ、ママは(パパは)僕(私)の気持ちを分かってくれるのだ」という信頼感と安心感を強めます。また、簡単な童謡を教えて一緒に歌うのも良いことです。同じ物語や本を何度ねだられても忍耐強くつきあってあげてね。

上にも書いたように、日常生活の変化に気がついて気持ちを動揺させることがあるので、これから何をして、どのようなことが起こるか、でもママやパパがいるから安心だ、ということを表情豊かに言葉で説明することが大切です。こうして信頼のある人間関係を深めていきましょう。

親としては、一番大変で、「早く大きくなってよ」などと言いたくなってしまう時かもしれませんが、後になって「あの頃が一番楽しかった」と思えるようになりますよ。辛抱して、子どもとのやりとりを楽しむようにしてね。

失敗から立ち直れる弾力性

物を握って、つまんで、引っ張る段階から、手首の関節が緩んで物をひねることが出来るようになりました。力も強くなって、今まで重くて開けられなかった引き出しを開けたり、ドアの取っ手をひねって開けて探検の場所を広げようとしますね。ここは開けても良いという引き出しや戸棚を決めて、危険でない範囲で、なんでも試させてあげてください。

また「これ何?」「あれ何?」と興味津々で、包みなど何でも開いてみようとしますね。掃除機をかけようとすると「僕(私)がやる」とオン・オフのボタンを押そうとしたり、掃除機を抱えようとしますから、「ママと一緒にやりましょう」と子どもの手を添えさせ、終わったら「お手伝いしてくれてありがとう」と言いましょう。

子どもは技術を習得することで、達成感や満足感を味わい、自分への自信を深めていきます。玩具の車に乗ってバランスがとれず転がっても、「大丈夫、繰り返してやることで上手になるのだからね」と励ましてあげましょう。失敗から立ち直ることで、子どもはストレスに対する弾力性(跳ね返す力)をつけていきます。

親としては、いつも子どもを失敗から守るより、失敗した後に技術の習得に手を貸してあげるほうが大切なのです。いやなことがあっても、失敗しても、それを克服できる弾力性のある強い子どもに育てましょうね。

 
 
1〜1歳半 2〜3歳